子ども部屋、いつから与える?~一人の空間で心が成長します~
「子どもに個室を与えるのは小学校に入学する頃」という方が約5割、という調査結果があるように、小学校入学のタイミングは、多くの家庭で個室を与える機会になっているようです。この春から子ども部屋をつくった、というご家庭もあることでしょう。
ただ、「部屋が物置状態に…」「リビング勉強の方がいいって聞くけど?」「ひきこもってコミュニケーションがとりにくくなるんじゃ?」という声も聞こえてきそうですね。
そこで今回は、子ども部屋を与えるタイミングや、ルールづくりについて考えてみます。
小学校入学頃?それとも10歳頃?
ランドセルに教科書、鍵盤ハーモニカ、絵具セット、習い事の用具など一気に持ち物が増える小学校入学時は、子ども部屋を与える大きな機会。学習机や子ども用のベッドを用意されるご家庭も多いでしょう。
低学年のうちはまだまだ親が確認する必要はありますが、目覚まし時計をセットして一人で起床する、着る洋服や学校で必要なものを準備したり、一人で身支度をすることなどを通じて、身辺の自立をしつけることができます。
そして次のタイミングとしては、10歳頃に子ども部屋を与えるご家庭が多いようです。
この年頃は、自立心が芽生え始め「一人で自由にやってみたい」「親の力を借りたくない」という主張が出てくる頃。
親が目を離していても安全な年齢になることから、このタイミングが選ばれているようです。
兄弟姉妹の年齢との関係、住居環境も影響してきますから、ご家庭の事情に合わせて考えてみてくださいね。
精神的自立に役立つ
子ども部屋の役割として注目したいのが、心の成長にも役立つということ。空間の管理を任せることで、子どもは喜びを感じ、責任感が育まれます。
悲しいことがあって一人で考えたい時や、友達とケンカして腹が立っている時などに、一人になれる空間があることで心を落ち着かせることができ、精神的な成長につながります。
また、自分でコントロールできる場所で、空間の使い方や人との関係を学ぶことで自我が生まれ、協調性も生まれるというように、社会的な成長も期待できます。
このことは、押し入れなど小さな空間を与える場合でも同じことがいえます。
ルールづくりのポイント
子どもの心の成長を促すためのルールづくりも大切です。
部屋のドアは開けておくのか、閉めておくのか。入室についてのルールを決め、ドアが閉まっている場合、親はノックをして入室するようにしましょう。
用事があるふりをしてお茶とお菓子をもって入室したり、掃除に入って部屋の中のものを見たりすることは、ルール違反。子どもからするとプライバシーを侵害されていると感じます。
そしてこの機会に、家具や持ち物の配置方法、衣類の収納方法、効率のよい準備や後片付けの方法、スッキリした空間を長期間保つ方法などを話し合い、ルールを作りましょう。
学年によっては、お友達を部屋に入れるかどうか、ゲームやスマホとの付き合い方についてのルールも必要になってくるかもしれませんね。
親子のコミュニケーションを大切に
子ども部屋について大事なことは、一人の人間として子どものプライバシーを守りつつ、親子のコミュニケーションができる場所としての役割をもたせること。
小さな頃から遠慮せず子ども部屋に出入りしておき、子ども部屋が子どもの聖域にならないように注意をしましょう。
子ども部屋を与えたからといって、自由を与えるための場所ではなく子ども自身が自律・自立できるための場所という考え方が大事です。
個人としての子どもを尊重しながら、親子、家族のコミュニケーションを積極的にとるように心がけたいですね。
いかがでしたか?
個室を与えると同時に心配なこともいろいろと出てきますが、決めたルールを実行させるにはとても良いチャンス。
親が子どもに対してどんな風に育って欲しいか、どんな家族になりたいかを伝える機会にもなります。
子どもが部屋で過ごす様子を見ながら、気になることはその都度話し合い、ルールを見直していくといいですね。
(参考文献:北浦かほる 著 「世界の子ども部屋―子どもの自立と空間の役割」)