団体信用生命保険で「がん」の保障は必要?
住宅ローンを選ぶときには、変動金利と固定金利、どちらがいいのか?、迷ってしまうものです。
また特に悩まれる方が多いのが、団体信用生命保険でがんなどの「三大疾病保障」特約をつけるべきか否かという点でしょうか。
確かに、特約をつけておけば、万が一のときには安心ですが、それだと金利を上乗せして支払う必要があり、毎月の支払総額も高くなってしまう点は悩みどころです。
そこで今回は、団体信用生命保険でがんの保障をつけるべきかについて解説していきたいと思います。
団体信用生命保険の特約にある「がんの保障」ってどういうこと?
住宅ローンを契約する際、基本的に加入しなければならない団体信用生命保険(以下、団信)ですが、団信では契約者の死亡・高度障害状態になった場合を対象とするものが基本ですが、中には上乗せの金利や特約料を払うことによって、がんなどの三大疾病になってしまった場合も保障するというものがあります。
三大疾病に罹患してしまった場合は、住宅ローンの返済どころではなく、治療が長引くことも多いですが、このような状況ですと、通常の団信では保障対象外となってしまいます。 そこで、安心して住宅ローンを返済していくためには、こういった特約をつけることで対応していくと良いでしょう。
がん特約のメリット・デメリット
安心して住宅ローンを返済していくためのがん特約ですが、実はデメリットもあります。
そこで、がん特約をつけるメリットとデメリットを整理していきましょう。
がん特約をつけるメリット
がん特約をつける最大のメリットは、がんになったら、残りの住宅ローンの返済が免除されるというものです。
ただし、この特約のメリットはこれだけではありません。
実は、民間のがん保険や三大疾病保険に加入するよりも、団信でがんの特約をつけた方が、圧倒的にコストパフォーマンスが良い場合があるのです。
例:住宅ローン残債3,000万円・元利均等返済・返済期間40年未満の初年度特約料
通常の団信特約料:107,300円
3大疾病付団信特約料:164,000円
差額:56,700円
(参照:住宅金融支援機構の機構団信特約料及び3大疾病付機構団信早見表より)
https://www.flat35.com/danshin/
3大疾病の特約料である差額56,700円を12ヶ月で割ると、4,725円。
1日あたりの特約料は、4,725円÷30=157.5円
年齢にもよりますが、がん保険などは100万円の保険金をつけたとしても、ここまでは安くなりません。
がん保険は医療費の補填に、がん団信は住宅ローンの返済にという目的の違いはあるものの、がんの保障という点では、団信の方が圧倒的なコストパフォーマンスの良さがあります。
がん特約をつけるデメリット
では、がん特約をつけた方がいいのか?と思うかもしれませんが、もちろんデメリットも存在します。
例えば、がんの保障をつけると、特約料が必要なことです。
この特約料は、たいてい金利に上乗せすることで支払いますが、毎月の返済額が上がってしまう原因にもなります。
また、がんに罹患するリスクも(年齢にもよりますが)、どれだけの確率があるのか?といった疑問も考えられます。
国立がん研究センターの統計(2014年)によると、がんの罹患率は、男性の場合ですと、
・30代前半男性:0.04%
・30代後半男性:0.06%
・40代前半男性:0.10%
・40代後半男性:0.19%
となっています。
(参照:国立がん研究センター)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/
この数字を高いとみるか?低いとみるか?はそれぞれですが、がん特約を使う場面というのは、そう多くはないとも言えるでしょう。
団体信用生命保険にがんの保障は必要か?
結局のところ、団信にがんの保障は必要なのか?という点についてですが、これは人それぞれの考え方によって異なります。
がんに罹患するリスクが高いと考えるなら、がん団信に加入しておいた方がいいですし、罹患率はそう高くはないから、それよりはマイホームの予算アップに充てるという考え方もありです。
個人の価値観によって判断が異なるため、がんの保障が必要か不要かは人それぞれです。
ただ、住宅ローンを扱う金融機関の中には、従来よりも幅広い保障の団信を扱うところも存在します。
がんに限らず、団信の特約を検討する場合は、こういった団信の「内容」で、住宅ローンを比較してみるのもオススメです。
今回は、住宅ローンの団信にがん特約は必要か?不要か?についてご紹介しました。
みなさんが悩むところではある団信の特約ですが、特約料が必要になり、やみくもにつければ良いというわけではありません。
もし迷ったら、まずは特約を付けたみた場合の金利で、返済計画をシミュレーションしてみるのも良いかもしれません。
こういった返済計画は、ハウスメーカーなどでも簡単なシミュレーションなら可能なことも多いので、まずは相談されてみてはいかがでしょうか?