親世帯・子世帯の両方が幸せに~失敗しない!二世帯住宅~
最近では共働き家庭の一般化や経済的理由、
少ない子どもで親の老後をみる必要があることなどから、
二世帯住宅が増加する傾向がみられるそうです。
そこで今回は、親世帯も子世帯も
幸せに暮らせる二世帯住宅のつくり方の
ポイントをご紹介します。
◇今、二世帯住宅が注目されている理由
企業による育児休暇の充実や短時間勤務制度の導入などにより、出産後も正社員として働く女性が増えています。同時に出産後に再び非正規社員として働く女性も増えており、今や共働き家庭が一般的になっているといえます。
共働き夫婦にとって強い味方が、育児や家事を支えてもらえる親世帯。親世帯にとっても、二世帯住宅は安心でき、孫と存分にふれあえるメリットがあるといえるでしょう。
また、子供の学費や将来への貯蓄を考えると、住宅にかけるお金はなるべく抑えたい。
そう考えるとマイホームを手に入れるのはなかなかの難題に…。
そこで、今親が住んでいる家をリフォームしたり建て直したりして二世帯にすれば、マイホームを手に入れることが可能になります。
住宅ローンを組む際にも、頭金を親世帯にも出してもらえれば後々の返済額が楽に。子ども世帯の収入基準に不足がある場合でも、親の収入もあわせて審査されるので、それだけ有利になります。
また、二世帯住宅は節税にも有利。相続税の課税対象である「土地」ですが、二世帯住宅の場合、土地の評価額が80%減額される「小規模宅地等の特例」が適用されます。その適用面積が、2014年3月31日以前は240㎡でしたが、2015年1月1日以降は、330㎡に緩和されます。これにより二世帯住宅の場合、約100坪までは相続税が大きく節税できることになります。
◇様々なタイプがある二世帯住宅
(1)[完全分離型]二世帯住宅とは?
完全分離型の二世帯住宅とは、親と子それぞれの世帯の居住空間が完全に分離している住宅です。玄関、キッチン、バス、トイレ、LDK、居室が完全に別棟になっていたり、1階と2階に分かれていたり、隣り合わせになっていて内部のドアで行き来できるなど、生活スペースが別々に作られています。
■[完全分離型]二世帯住宅のメリット・デメリット
お互いのプライバシーを完全に守ることができるのが大きなメリットです。親子であっても世代が異なると価値観が異なり、現役で働く家庭とリタイアしている夫婦の生活習慣は全く違います。そうした違いを気にすることなく遠慮や気兼ねなく生活できるので、ストレスがたまりにくいです。嫁姑問題や子どもの教育問題など、人間関係のトラブルが起こりにくいのが完全分離型といえるでしょう。
一方、完全分離型は玄関、キッチン、バス、トイレなどの設備もそれぞれ別々に用意しなければならないため、建築費用が高くつくのがデメリットといえます。
(2)[一部共用型]二世帯住宅とは?
「一部共用型」二世帯住宅とは、それぞれに居住空間は独立しているが、玄関、キッチン、リビングなど住宅の一部を共用する住宅です。二世帯住宅で最も普及している形態が、この[一部共用型]二世帯です。
■[一部共用型]二世帯住宅のメリット・デメリット
どの部分を共用にするかは、じっくり考える必要があります。例えば玄関を共有すると良いのは、小さい子どもがいる場合です。共働きの場合、仕事から帰るまで預かってもらいやすくなるし、外出する時にも見守りをお願いしやすくなります。そういう点で、他はすべて分離型にしていても玄関だけは共有している方は多いそう。その一方で、外出や帰宅の時間がわかってしまったり、訪問客があったことがわかってしまったりすることが気になる方もいるかもしれませんね。
妻の親と同居する場合にはキッチンを共有するのもおすすめです。キッチンに主に立つのが母娘という関係なので、お互いの食べ物の好みを熟知しており、料理や買い物を一緒にしたり当番制にしたりということがスムーズに合理的にできます。
そして、入浴時間が大きく異なる場合は、バスルームを共有するのは、トラブルのもとになる可能性が。光熱費を節約するために早く入浴するよう声かけなどを行うことで、お互いにストレスがたまることがあるためです。
(3)[完全同居型]二世帯住宅とは?
[完全同居型]二世帯住宅は、一つの建物に2世帯の家族がすべてを共有して居住するタイプです。寝室や勉強部屋や書斎などの個室だけを別にして、リビングやキッチン、バスルームなどの共有スペースを設けることで家族全員が交流をもつことができます。
■[完全同居型]二世帯住宅のメリット・デメリット
子どもたちが祖父母と頻繁に交流して、先人の知恵を学ぶことができ、思いやりのある優しい子どもが育ちやすいといえます。また、玄関、キッチン、バスなどお金のかかる部分を一つ作ればよいことから建築費用を抑えることができます。もちろん維持費や光熱費、将来の修繕費についてもコストを抑えられる省エネ住宅になります。
しかし完全同居になると、それぞれの世帯の仕事や学校の終わる時間、食事や入浴の時間の違いなどから、様々な不満が出てくる確率は高くなります。完全同居にする場合は、特に細かなことまで事前に十分に話し合い、お互いによく理解しておくことが大切です。
◇二世帯住宅をつくるポイント
二世帯住宅のプランでは、基本的には高齢者となる親世帯が住みやすい家をつくることが大事です。今は元気でも、何十年か先は身体能力が衰え介護が必要な場合もでてきます。そうなった時のこともしっかり考えておきましょう。
―基本的な事項としては
- ●バリアフリー
- ●玄関は、上り下りしやすい高さに。バランスを崩しやすいので、手すりをつけたり、座って靴がはけるように工夫をする。
- ●夜中にトイレに立つことが多いため、寝室に近いところにトイレをつくる。
- ●高齢者にとって寝具を出し入れは負担が大きいため、ベッドで寝ることを基本に。
- ●車いすで移動可能な廊下の幅を確保するかどうか。
- ●大きい窓のある部屋を親世帯の寝室にすることで、介護が必要になった時に出入り口にできるように。
―その他の快適に暮らすポイントとしては
- ●トイレと洗面所は、2カ所ずつつくる。
- ●子ども世帯の寝室は、広めにしてくつろぎコーナーをつくる。
- ●子ども部屋は、親世帯の寝室の真上にならないようにする。
- などなど
いかがでしたか?
二世帯住宅をつくる場合には、自分たちにはどんなタイプが合うのかをじっくり考え、十分に話し合うことが大切です。お試し期間を設けて、しばらくの間お互いの家を行き来して生活してみるといいですね。